| 著者: | 川上 弘美 | 
| 読み: | かわかみ ひろみ | 
| 題名: | 『いとしい』 | 
| 出版: | 幻冬舎文庫 | 
| 発行: | 2000/08(1997/09) | 
| 読了: | 2003/06/04 | 
| 評価: | A: ★★★★★ | 
| 感想: | 
           川上弘美の世界ではスタンダードな、一般的にはやや奇妙な、美しく悲しい恋と愛の物語。 川上弘美に惚れ直した。美しく悲しいことにこういうありかたがあったのかと衝撃と感動を覚えた。例のごとく、その感動を伝えられない自分のボキャブラリーが悲しい。おお、弘美、なぜあなたは弘美なの?と セックスすると耳が前後逆転する、といった奇妙な世界はあいかわらず存在するものの、他の作品にない「普遍性」を感じた。とてもキュートとは言えない主人公なのに、「いとしい」感情が止まらなくなる。胸キュンでもないのに、不憫でもないのに、可愛くないのに、主人公が、登場人物がいとしくてたまらない。  |