| 著者: | 村上 龍 | 
| 読み: | むらかみ りゅう | 
| 題名: | 『共生虫』 | 
| 出版: | 講談社文庫 | 
| 発行: | 2003/03(2000/03) | 
| 読了: | 2003/05/08 | 
| 評価: | B-: ★★★★ | 
| 感想: | 
           ひきこもりの少年が悪い奴らに天誅を下す過程で自己を取り戻していく、という筋立てには感心しない。他人を殺す計画をたてる過程で主体となる自己を初めて確立する、自然に触れることで身体と自己の関係を取り戻す、という筋書きにもどうしても共感できない。 もっとも、作者の狙いもそこにあるのかもしれない。このくらい反社会的な行為でないと社会的存在としての自己を確かめられない現実、というアイロニーが満ち溢れている作品だ。読後感の悪さは作者の意図が明確だったことの証左に他ならないとも言える。 ママの支配が男の子を殺していく、という毒もまた全編を通じてにじみ出ていてとにかく気持ち悪い。  |