| 著者: | 浅見 定雄 | 
| 読み: | あさみ さだお | 
| 題名: | 『にせユダヤ人と日本人』 | 
| 出版: | 朝日文庫 | 
| 発行: | 1986/12 | 
| 読了: | 2003/03/30 | 
| 評価: | C: ★★★ | 
| 感想: | 
           ベストセラー『ユダヤ人と日本人』がいかに根拠のない本か、論理・知識・事実の各側面からメッタ切りにする。 学術的な正しさ、論理的な正しさ、国際人としての良識、どれをとっても浅見氏の正しさとイザヤ・ベンダサン(山本七平)氏の誤りは一目瞭然。しかし、どちらが売れるかといえば圧倒的に後者だ。どちらが読んで面白いかといえば圧倒的に後者だ。内容が正しくても、読んでもらえなければ、メッセージが伝わらなければ意味がない。いくら象牙の塔の上から叫んでみても聞いてもらえないことには意味がないということにもっと敏感であって欲しかった。 『ユダヤ人と日本人』は当初の予想を遙かに越えて幅広い人たちに読まれている。しかし浅見氏の『ニセユダヤ人と日本人』は当初のイザヤ・ベンダサン氏のターゲットであるインテリ層に向けて書かれている。自力で何か変だぞ、胡散臭いぞ、と気づける人たちに。作戦失敗だと言わざるを得ない。『買ってはいけない』に対する『「買ってはいけない」は買ってはいけない』の商業的なスタンスをみて書き直して欲しいところだ(他にもっといい例が思いつかなかった)。  |