| 著者: | 北村 薫 |
| 読み: | きたむら かおる |
| 題名: | 『盤上の敵』 |
| 出版: | 講談社文庫 |
| 発行: | 2002/10(1999/09) |
| 読了: | 2002/11/02 |
| 評価: | B-: ★★★★ |
| 感想: |
人が生きている以上、どうしようもないことがある。正解のない「どうしようもないこと」「救いようのないこと」にどう向き合うのか、それを描こうとして失敗した作品。 評価の難しい作品。時間三部作や初期の円紫と私シリーズに見られるような温かみのある作品ではない。舞台になるのは非常につらく悲しい出来事。それはいい。表面に現れないながらも、芯の通った暖かく確かな眼差しがあるから。しかし、表面上の悲惨さを隠すための「盤上のゲーム」という舞台が「ちゃんとした本格派ミステリの作品にする」という意図に引っ張られて立派になりすぎてしまっている。 |