YAMA's BOOK SHELF

三浦 綾子(みうら あやこ)

『母』

本のデータ
著者: 三浦 綾子
読み: みうら あやこ
題名: 『母』
出版: 角川文庫
発行: 1996(1992)
個人データ
読了: 2002/01/09
評価: C: ★★★
感想:

小林多喜二の「母」を描いた作品 ... ということになっているが、母は語り手70%主人公30%に過ぎず、言葉通りの意味での主人公は小林多喜二。

正面切って描くのではなく、「無知で詳しいことはよくわかんねえけど、母から見たら多喜二はこんな子だった」という視点から小林多喜二の人物像・家族群像に取り組んだ作品ととらえれば成功している。しかし、タイトルが「母」であり、本人があとがきで触れているように「小林多喜二の母」を描いているのだとすれば評価を保留したくなる。また、その母に聞き書きに行ったときの状況採録というスタイルは、いかにもそれらしいけど実際にはそんな風には語らない、というレベルにとどまってしまっている。

三浦節全開。いい人はあくまでもいい人、悪い人はあくまでも悪人。

$Revision: 1.4 $, $Date: 2003/06/29 20:33:33 $

Copyright (C) 2000-2002 Mt. YAMA